いつもありがとうございます。
理学療法士の東です。
この度、フレイル予防市民講座での講師のご依頼を頂き、改めてフレイルについて学ばせて頂きました。
そこで、この場をお借りして、学びそして知識として得たことを掲載させて頂きます。
大事な内容ですので、是非とも参考にご一読下されば幸いです。
先ず、フレイルとは…??
介護が必要となる前段階の状態を「フレイル」と言います。
皆さんはご存知でしたでしょうか??
2020年からのコロナ禍によって、高齢者のフレイルは増加傾向にあるようです。
フレイルとは健康と要介護・寝たきりの間を指し、簡単にいうと「加齢によって心身が老い衰え、社会とのつながりが減少した状態」…のことです。
要支援・要介護の前段階の状態であるフレイルは、単なる身体的機能の衰えだけではなく、精神的脆弱や社会性低下などを生じることが特徴です。
改善をせずにそのまま放置すると、介護が必要な状態になる可能性が高く、早期発見と適切な予防・改善をしていくことが大切になります。
次に、フレイルを構成する3つの要素について…ご説明します。
~①身体的な衰え~
身体的な衰弱としては、まず筋肉量の低下が挙げられます。
特にお腹や背中などの体幹筋肉、ふくらはぎなど足の筋肉量の減少が顕著です。
筋肉量が減ることで歩きづらくなったり、転倒の危険性が高まります。
免疫力が低下し、血糖値の管理が難しくなる…というような問題も出てくるでしょう。
またオーラルフレイルといって、口腔機能の低下も起こります。
食べ物が噛みづらくなったり、食べこぼしなどが増えたりすることが増え、悪化すると嚥下障害や摂食障害に進行します。
~②心理・精神的な衰え~
心理・精神的な衰えとして、認知機能の低下があります。
・記憶障害
・失語-失行-失認
・遂行機能障害
などが起こる状態です。
いわゆる物忘れや、物の名前がなかなか出てこない、計画立てて物事を進められない、といったようなことから始まり、進行すれば認知症と診断されます。
また心理的な衰えの症状として、うつ病を発症する場合もあるので注意が必要です。
初期段階では、
「ボーッとする」
「落ち着きがなくなる」
…などの変化が見られる場合が多くなります。
~③社会性の衰え~
社会性の衰えというのは、人や社会とのつながりが減っていくことです。
人との会話や交流、社会とのつながりがなくなってしまう事によっても、フレイルは進行していき、心身が健康であっても安心とはいえないので注意が必要です。
定年退職や配偶者との死別で、一人で過ごす時間が増える高齢者は多くおられます。
また今であれば、新型コロナウィルスによって、以前よりも人と会う機会が減っている現状があり深刻化しています。
健康的に生きる意欲にもつながるため、高齢者の社会性を維持することはとても重要と考えられます。
次に、フレイルを予防・改善するには…をご説明します。
<運動編>
ウォーキングや体操など、有酸素運動を取り入れましょう。
しっかりと体を動かし、歩くことで筋肉を鍛えます。
庭の手入れや家事などで、こまめに動くこともよいでしょう。
足腰を鍛えることで血流もよくなります。
血行促進は認知機能の低下予防にも効果的です。
歩幅を広げて早足で歩くこともポイントです。
しかし、運動が良いからといって、いきなり走ったり激しい筋トレをすると、ケガの危険がありますので注意しましょう。
まずは近所の散歩から始めて、慣れてきたら徐々に運動量を増やしていくことがおすすめです。
<栄養編>
フレイル予防には、しっかり食べて栄養を取ることが欠かせません。
バランスの良い食事を3食しっかり取りましょう。
炭水化物、タンパク質、ビタミン・ミネラル、を意識して摂取することが大切です。
タンパク質は筋肉を作る重要な栄養素です。
さらにエネルギーとなる炭水化物、身体の潤滑油となるビタミン・ミネラルも必須です。
また体重が減っていないかを、こまめにチェックするようにしましょう。
栄養をしっかり取るために、口の健康を保つことも大切です。
加齢に伴いだんだんと噛む力が弱くなったり、舌が力強く動かなくなったりと、オーラルフレイル(口腔機能の低下)も進行します。
何もせずに放置すると、食べこぼす、むせる、噛めない状況になり、食事が困難になっていきます。
舌回し運動やパタカラ体操など、口腔機能運動を取り入れオーラルフレイルを予防しましょう。
<社会参加編>
社会参加は特に心の健康につながります。
身体の健康に気を配っていても、社会参加がなく、フレイルが進行してしまうことはよくあります。
地域の行事やボランティア活動に参加したり、子どもや孫に会う機会を増やすなど、積極的に人との交流を増やしていくことです。
これは、家族や周りの人たちが気にかけることでも改善できます。
今は気軽に外出しにくい日々ですが、会えない場合にも手紙や電話などで連絡をとりましょう。
また、自治体の介護予防の取り組みなどに参加するのもおすすめです。
何れにせよ、人とのつながりを維持することがとても大切です。
最後に、まとめ…としまして。
フレイルは早期発見によって、予防・改善できることが分かっています。
しかし高齢者が自分自身で気づき、生活改善していけるとは限りません。
実際に健康な頃と変わらぬ暮らしを続け、要介護状態になってしまう高齢者は数多くおられます。
フレイル予防には家族や自治体、介護予防サービス事業者らのサポートが必要です。
近しい人達が適切に介入することで高齢者のフレイル進行を防ぎ、再び健康な状態で暮らせるよう、支援していくことが大切です。
フレイルについてのご説明は以上です。
最後までお読み頂きありがとうございました。
皆様の健康的で自立した生活が維持・継続できますよう、クリニック一同これからもご支援させて頂きます。
引き続きどうぞ宜しくお願い致します。